日本酒の製造過程
日本酒の醸造については、いろいろなところに掲載されていますので、ここで今更と考えましたが、自分の備忘録の意味を含めて記載します。
大まかな流れは以下の図のようになります。
目次
精米 ⇒ 蒸し
酒用の米を仕入れますと、その米を精米します。外側の雑味の元となる部分を削り落とします。30%削り落とすと精米歩合は70%となります(精米率は30%)。精米後は水分調整および摩擦で生じた熱を冷ますために3-4週間の時間を置きます(枯らし)。
その後で、米の形が崩れないように洗米し、水分が一定に浸み込むように配慮しながら浸漬します。「蒸きょう」と呼ばれる米を蒸す工程に入ります。
米は炊かずに、蒸します。炊いた米は水分約65%ですが、蒸した米は水分約35%です。麹菌の繁殖には水分量35-40%が適切とされます。
麹作り
蒸しの作業を終えたら、蒸し米の一部を取り出して、30℃くらいに冷まして麹を作ります。
室温が30-35℃、湿度50-60%に調整された麹室で蒸し米と種麹を数日かけて、「麹」をつくります。使用する白米全体の約1/4を使います。
酒造りには「一麹二酛三造り」と言われています。酒造りのメインイベントの始まりです。
酒母(しゅぼ)作り
次に酒母(酛、もと)を作ります。材料は、「米麹:蒸し米:仕込み水=1:4:6」で配合します。発酵の主役となる酵母を大量に増やす工程です。酒母の役割は所定濃度の乳酸を含み、健全な酵母を育成することにあります。
空気中には日本酒造りの弊害になる野生酵母や雑菌が漂いますが、それらが増えないように乳酸で駆逐します。その乳酸を天然の乳酸の増加を待つ生酛、仕込み初期に乳酸を加える速醸酛があります。速醸酛は10日前後、生酛と山廃酛は20日以上の時間を要します。
酒母に使用する白米は全体の約7%程度とされ、醪(もろみ)の段階では酒母は10倍以上に薄まります。
醪(もろみ)造り
もろみ造り(三段仕込み)は、酒造りのメインとなる部分で、室町時代からの伝統技術です。現在でも、類似の製法が行われています。
初日
①最初に酒母を投入
②酒母の2倍の「米麹と蒸し米と仕込み水」を加える 初添
2日目休み 踊り
3日目
できた酒母の2倍の「米麹と蒸し米と仕込み水」を加える 仲添
4日目
できた酒母の2倍の「米麹と蒸し米と仕込み水」を加える 留添
上槽(じょうそう) ⇒ 火入れ
上槽とは、醪(もろみ)を搾り、新酒(生酒)と酒粕に分ける工程です。自動圧搾機を利用することが多いですが、大吟醸酒などの高級酒は、袋に入れて重力だけを頼りに自然に搾ったものだけを利用することもあります。これを「袋吊り(袋搾り)」と呼び、苦みが極めて少ない良質のお酒になると言われています。
絞られた原酒は、さらに濾過、殺菌(火入れ)、貯蔵、瓶詰めされて商品になります。
上槽されたお酒は、酒のなかに残存する微細な固形物を濾過します。さらには粉末の活性炭を使用して、余計な色や雑味を除去します。この活性炭の量が多いと味も素っ気もない、深みのないお酒になってしまいます。
その後、品質劣化の原因となる微生物を殺菌するために、かつ、残っている酵素を破壊するために加熱処理されます。