初飲酒年齢とアルコール依存症
アルコール依存症とは、アルコールを繰り返し多量に摂取した結果、アルコールに対し依存を形成し、生体の精神的および身体的機能が持続的あるいは慢性的に障害されている状態をいいます。
依存症状には、飲酒したいという強烈な欲求(渇望)がわき起こり、それに抗えない状態の精神依存症状とアルコールが体から切れてくると手指のふるえや発汗などの離脱症状(禁断症状)が出現する身体依存症状があります。
目次
遺伝子的な危険因子
アルコールの分解経路ですが、アルコールは「アルコール脱水素酵素(ADH)」によりアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドは「アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」により酢酸に分解されます。
ADHもALDHも、遺伝子多型によりその活性が異なります。つまり遺伝子の型により分解速度が異なります。
アルコールの血中濃度が高くなりやすい人は、気分が高揚しやすく、飲酒により報酬系が賦活されやすい体質となり、アルコール依存症の危険因子と言われています。
逆にアセトアルデヒドは不快な気分を誘発しますので、アセトアルデヒドが貯まりやすい体質(ALDHの活性が低い型 = お酒を飲むと顔が赤くなる)の人はアルコール摂取により不快な気分になり、アルコール依存症にはなりにくい体質であることが証明されています。
初飲酒年齢と家族歴
ゲームやギャンブルと同じですが、報酬系が刺激を受ける年齢が低ければ低いほど、それに”ハマる”確率が高くなります。報酬系を客観的に観察する能力が未熟なためです。
アメリカの42862人を対象にアルコール依存症の家族歴と初飲酒年齢を調査した研究があります [Grant, 1998]。アルコール依存症の生涯有病率は、20歳以降の初飲酒の場合は 15.6%(家族歴有)と6.5%(家族歴無)に対して、13歳以前の場合は 57.3%(家族歴有)と26.4%(家族歴無)と驚異的に高い数字を示しています。
未成年のアルコール摂取は極めて良くないと同時に子供のためにも大人は飲酒はほどほどにする必要があります!
参考
厚生労働省. e-ヘルスネット
Grant BF, Alcohol Health Res World 1998;22:144-7