国権酒造「山廃純米」~福島県南会津町の誇り~

以前、国権酒造の純米原酒の紹介をしましたが、今回は「山廃純米」です。一般に山廃仕込みで出来たお酒は、濃醇で旨口タイプの酒質に仕上がります。ラベルを見ただけで、心が盛り上がります!「山廃仕込み」と言うのは略した言い方で、正式には「山卸廃止酛仕込み」です。

速醸系酒母 と 生酛系酒母

お酒造りには酒母(しゅぼ)と呼ばれる工程があります。酒母は 優良な清酒酵母を大量に育てて、次の発酵工程醪での発酵が順調に進ませるためのスターターの役割をします。酒母は、酸性に強いですが、雑菌が繁殖すると発酵がうまく進みません。そのために、酸性の人工の乳酸を始めに加えることが多いのです(速醸系酒母)。人工の乳酸を添加することなく、自然の乳酸菌の生育を導き、ゆっくりと酸性にする酒母に生酛(きもと)があります(生酛系酒母)。自然に乳酸菌が育成するのを応用しますので、時間がかかりますし、その分雑菌に繁殖される危険も大きくなってしまいます。

速醸は約2週間で完成します。安全で簡便で香りよく軽快な酒質に仕上がります。他方山廃や生酛は、速醸の倍以上(30~40日)の手間ひまをかけて育まれます。

山廃仕込みとは

生酛づくりの技法の中に、酒母に荒櫂を入れて摺る「山卸」という工程があります。麹の酵素の作用で蒸米のデンプンが糖化するのを助けます。この山卸はかなりの重労働で、上手下手が杜氏の技量を図る基準の一つとまで言われていました。

生酛造りで行われている、この山卸を、山廃造りでは省略されています。材料の投入順序、仕込みの温度、暖気の入れ方などを変えることで、山卸の作業を省いても、変わらない生酛を味わうことが可能となっています。日数も生酛造りより、1週間短い時間で完成します。

山廃で仕込んだ純米酒、というシンプルな命名です
南会津町で醸造されています

勝手に日本酒品定め

色は、淡々黄色です。
味は、
甘み 4 うまみ 5 渋み 2 酸味 2 苦み 2 コクボディ 4 (5段階評価)。
香りは、花系の梅のよう。

お供の料理:料理の脇役に徹する感じです。和食ならばなんでも合いそうです。

参考
大倉本家のHP
上原浩. 純米酒を極める. 光文社新書 2002年

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